セフレとの出会いは、渋谷の安クラブでした。
当時、いろいろと自暴自棄になっていた時期で、同僚に誘われた初クラブ、ストレス発散してやろうとワクワクしていました。
むろん、ワンナイトラブなんて全く夢に見ておらず、むしろ活発なスポーツ少女から、ジムに通ったりダンスを習ったり、アクティブなOLだった私は、一晩踊り狂ってやろうと楽しみにしていました。
ところが。
酒をのみながらくわえタバコでガンガン踊り、次から次へと声をかけてくる派手な男の子たちにいい気になっているうちに、気づいたら意識がもうろうとして、フラフラ・・・。
途中のことは記憶にないのですが、気が付いたら、つるりと綺麗な顔立ちの、がっちりとした男の子の腕に抱きとめられていたのでした。
出会いです。
見上げると、真っ黒い瞳が目の前にあり、なんだかとてもいい匂いがしました・・・。
また記憶が飛んでしまい、次に気づくと彼の部屋でした。
同僚と、彼の友人も一緒です。
酔いが残ってケラケラ笑う私を、再び良い香りのする彼の腕が抱きしめました・・・。
こんな、いい加減な出会いですが、彼とはセフレ関係が一年ほど続きました。
お祖父さんから譲られたという古くて大きな、居心地のよい車に乗って、出会いを生んだ例のクラブへ通い、彼の部屋でぼんやりとする日々・・・。
いつもレゲエミュージックが流れ、肉食の残酷な魚が水槽の中でじっと身をひそめている・・・。
若い二人なのに、なぜか会話は多くなく、寄り添って窓の外の雨を眺め、残酷な魚の狩りを見つめ、そっと寄り添い、タバコの煙の行方を目で追っていました。
なんだか今思い出すと夢のようです。
あの人と話したことは、あまりよく覚えていないのに、部屋に漂う頽廃の香り、積み上げられた、彼のものではないたくさんの本、暗い雨の音・・・。
青春でも恋でもなく・・・古い映画のワンシーンのような、色の違う思い出です。